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無王群近似環境に関してのご質問がありましたので、そこら辺の事を書きます。
以下は、現時点での個人的な見解である事をご理解下さい。

1IMG_6792.jpg
生き物が子孫を残そうとするのは自然な事ですよね?
しかし、飼育下のオオアリ亜属は、成熟したコロニーでもなかなか子孫を残そうとしてくれない。

それは何故?
何か障害がある?

栄養というのはピンとこないのです。
オオアリ亜属がメス生殖虫を生産するのに、量的や質的に特別なエサを幼虫に与えている可能性は否定しませんが、それは基本的にアリ側の問題であって飼い主の問題ではないはずです。

アリという動物は、女王物資でカースト制を維持する特殊な動物なので、それが羽アリ生産の障害になっているんじゃないの? なら、カースト制の維持が崩壊した空間を意図的に作り出してあげれば、子孫を残そうとするんじゃないの?
という事で進めてきたのが、無王群近似環境です。

こういうものには閾値が存在するので、女王物質をゼロにする必要はないと思っていました。
なので、近似環境です。


あと、すごく気になっていたのが、ワーカーによるオスアリ殺しです。
せっかく羽アリを生産してくれても、殺されてしまっては何の意味もありません。

たまにクロオオアリやムネアカオオアリの初期コロニーでオスアリを生産したという話を聴きますが、大抵ワーカーに殺されています。

それは何故?
これは、エラー生産と判断されたからだと考えるのが妥当だと思っています。
この考えが正しいとするなら、問題は何故ワーカーがエラー生産と判断したか?という事です。
単純なシステムのはずです。

飼育下におけるオオアリ亜属のオスアリ殺しは、諸事情から、コロニー年齢やコロニー規模とは無関係に生じる可能性があると予想していました。


コロニーが小さいうちは巣も小さいです。
なので、巣全体に女王物質は十分にいきわたっているはずです。

コロニーが大きくなると、巣も巨大化・複雑化して、女王物質の少ない空間が出来てくるはずです。
その空間で生産されたオスアリのみ正しい生産だと判断されるとしたら、小さなコロニーで生産したオスアリはエラーと判断されるし、大きなコロニーで生産したオスアリはエラーと判断されないわけで、単純で合理的だと思いませんか?
オオアリ亜属のオスアリ殺しに関しては、大体そんな感じの事をイメージしていました。


オオアリ亜属のオスアリ殺しに関しては、データも少なく想像するしかなかったのですが、今年スラダケさんから貴重なデータが提供されました。
飼育8年目、コロニー規模5000個体のクロオオアリにおいてもオスアリ殺しが見られたようです。
飼育下におけるオオアリ亜属のオスアリ殺しは、コロニー規模やコロニー年齢とは無関係に生じるものだと予想していたので、それを裏付ける結果が出ました。
まぁ、1例だけですが・・・

スラダケさんの例は、自然の巣と飼育容器の構造上の違いから、正しい生産をエラー生産とミスジャッジした状態であろうと予想しています。


見方を変えると、オオアリ亜属のオスアリ殺しはカースト制の維持行為そのものだと思っています。
なので、カースト制の維持の崩壊した無王群近似環境を用意してあげて、そこでオスアリを生産させれば殺されないだろうと予想していました。


以上が、無王群近似環境を作ってみようという思いに至った大体の流れです。
ちょっと違うような気もしますが、説明するのも難しいので、まぁ大体こんな感じです。

要するに、無王群近似環境を作成すれば、羽アリを生産してくれるし、生産されたオスアリが殺される事もないはずだ、という事で進めてきました。

次回、無王群近似環境作成の手法について書きます。
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